線維筋痛症でめまいが起きる理由は?整体で相談できるケースと受診の目安
2026/08/04
線維筋痛症とは?
線維筋痛症の基本的な症状
線維筋痛症とは、全身の広い範囲に慢性的な痛みが続く疾患です。
主な症状は全身の痛みですが、痛み以外にも以下のような症状を伴うことがあります。
・強い疲労感
・睡眠障害
・朝のこわばり
・頭痛
・集中力や記憶力の低下
・手足のしびれ感
・腹部の不調
・気分の落ち込み
・不安感
・めまいやふらつき
痛みの感じ方には個人差があり、鈍い痛み、焼けるような痛み、刺すような痛み、電気が走るような痛みなどと表現されることがあります。
また、線維筋痛症では血液検査や画像検査で明らかな異常が見つからない場合があります。
ただし、検査で異常が見つからないからといって、すぐに線維筋痛症と判断できるわけではありません。他の疾患を除外しながら、症状の範囲や持続期間を総合的に評価する必要があります。
線維筋痛症の原因と発症メカニズム
線維筋痛症の原因は、完全には解明されていません。
現在は、脳や脊髄などの中枢神経系における痛みの処理が変化し、通常よりも痛みを感じやすくなる状態が関係していると考えられています。
このような痛みは「痛覚変調性疼痛」と呼ばれることがあります。
また、線維筋痛症では、本来であれば強い痛みを感じない程度の刺激でも痛く感じることがあります。この状態は、中枢性感作という考え方で説明される場合があります。
発症や症状悪化に関係する可能性がある要因としては、以下があります。
・身体的ストレス
・精神的ストレス
・睡眠障害
・感染症
・外傷
・手術
・過労
・生活リズムの乱れ
ただし、これらの要因だけで発症を説明できるわけではなく、複数の要素が関係していると考えられています。
どのような人がなりやすいのか
線維筋痛症は、男性よりも女性に多くみられる傾向があります。
成人で診断されることが多い疾患ですが、若年者や高齢者、男性にも起こる可能性があります。
そのため、性別や年齢だけで発症リスクを判断することはできません。
なお、「ストレスに弱い性格だから発症する」と考えるのは適切ではありません。
ストレスや過去のつらい経験が症状に影響する可能性はありますが、本人の性格や精神的な弱さが原因というわけではありません。
主な診断方法
線維筋痛症の診断では、症状の経過、痛みの範囲、疲労感、睡眠障害、認知症状などを総合的に確認します。
代表的な評価方法としては、以下があります。
・広範痛指数(WPI)
・症状重症度スコア(SS)
・全身症状の持続期間
・他の疾患で説明できないか
広範痛指数では、体の複数の部位に痛みがあるかを確認します。
症状重症度スコアでは、疲労感、睡眠の質、集中力や記憶力の低下などを評価します。
以前は特定の圧痛点を押して痛みを確認する方法が重視されていましたが、現在は圧痛点だけで判断せず、症状全体を評価する考え方が用いられています。
血液検査や画像検査は、線維筋痛症を直接確認するためというより、関節リウマチ、膠原病、甲状腺疾患、神経疾患など、他の病気を確認する目的で行われることがあります。
線維筋痛症とめまいの関係
線維筋痛症でみられるめまいとは?
線維筋痛症の人では、めまい、ふらつき、立ちくらみなどを伴うことがあります。
ただし、「めまい」と呼ばれる症状には複数の種類があります。
主なめまいの感じ方は以下の通りです。
・自分や周囲が回るように感じる
・体がふわふわする
・まっすぐ歩きにくい
・立ち上がったときに目の前が暗くなる
・足元が不安定に感じる
・頭がぼんやりする
どのようなめまいかによって、考えられる原因や受診先が異なります。
そのため、めまいをすべて線維筋痛症の症状として扱うのは適切ではありません。
めまいが起こる可能性のある要因
線維筋痛症に伴うめまいには、複数の要因が関係している可能性があります。
たとえば、以下のような要因です。
・睡眠不足
・強い疲労
・痛みによる活動量の低下
・不安や緊張
・脱水
・食事不足
・血圧の変動
・薬の副作用
・長時間の安静
・急な立ち上がり
また、線維筋痛症とは別に、耳や脳、心臓、血管などの病気が原因でめまいが起こっている可能性もあります。
めまいが続く場合は、線維筋痛症だけが原因だと自己判断せず、医療機関で評価を受けることが重要です。
自律神経との関連
自律神経は、心拍数、血圧、体温、発汗、消化などを調整しています。
線維筋痛症の人では、起立時の血圧や心拍数の調整に問題が生じ、立ちくらみやふらつきが現れる場合があります。
ただし、「自律神経の乱れ」という言葉だけで、めまいの原因を確定することはできません。
立ち上がったときにめまいが出る場合は、起立性低血圧、脱水、貧血、薬の副作用、心拍数の異常なども考える必要があります。
医療機関では、症状に応じて血圧測定、血液検査、心電図などが行われる場合があります。
中枢神経との関連
線維筋痛症では、脳や脊髄における痛みの処理が変化している可能性があります。
しかし、中枢性感作が直接めまいを引き起こす仕組みについては、十分に確立されていません。
そのため、「線維筋痛症による中枢神経の異常がめまいの原因である」と断定することはできません。
めまいがある場合は、以下のような他の原因も確認する必要があります。
・良性発作性頭位めまい症
・メニエール病
・前庭神経炎
・片頭痛に伴うめまい
・起立性低血圧
・貧血
・不整脈
・薬の副作用
・脳血管障害
めまいを悪化させる可能性がある要因
めまいは、以下のような状況で悪化することがあります。
・睡眠不足
・過労
・脱水
・空腹
・急に立ち上がる
・長時間同じ姿勢を続ける
・暑い環境
・強いストレス
・飲酒
・薬の変更や増量
症状が出た状況を記録しておくと、原因を検討する際に役立ちます。
記録する項目としては、以下があります。
・めまいが起きた時間
・持続時間
・回転感の有無
・立ち上がりとの関係
・頭の向きとの関係
・耳鳴りや難聴の有無
・頭痛や吐き気の有無
・服用している薬
・食事や水分摂取の状況
めまいがある場合に医療機関を受診すべき症状
すぐに受診が必要な症状
以下の症状を伴うめまいは、脳卒中などの緊急性が高い病気の可能性があります。
・突然、強いめまいが起きた
・ろれつが回らない
・顔や手足の片側がしびれる
・手足に力が入らない
・物が二重に見える
・まっすぐ歩けない
・意識がもうろうとする
・突然の激しい頭痛がある
・胸の痛みや強い動悸がある
・失神した
これらの症状がある場合は、整体ではなく、速やかに救急要請や医療機関の受診を検討してください。
早めに医療機関へ相談したい症状
緊急性が高くなくても、以下に当てはまる場合は医療機関へ相談しましょう。
・めまいが繰り返し起こる
・数日以上めまいが続く
・日常生活や仕事に支障がある
・立ち上がるたびにふらつく
・耳鳴りや聞こえにくさを伴う
・吐き気や嘔吐を伴う
・頭痛を繰り返す
・薬を変更してから症状が始まった
・転倒しそうになる
・実際に転倒した
相談先としては、症状に応じて以下が候補になります。
・内科
・耳鼻咽喉科
・脳神経内科
・脳神経外科
・循環器内科
・ペインクリニック
受診先に迷う場合は、まず内科やかかりつけ医へ相談しましょう。
線維筋痛症の症状管理と治療法
医療的な治療の選択肢
線維筋痛症の治療では、痛みを完全になくすことだけを目標にするのではなく、症状を軽減し、日常生活を送りやすくすることを目指します。
主な治療法は以下の通りです。
・薬物療法
・運動療法
・理学療法
・認知行動療法
・睡眠の改善
・ストレスへの対処
・生活リズムの調整
薬物療法では、症状に応じて以下のような薬が使われることがあります。
神経障害性疼痛に使われる薬
・抗うつ薬
・鎮痛薬
・睡眠に関する薬
・ただし、薬によっては、眠気、ふらつき、めまいなどの副作用が生じることがあります。
薬を服用し始めてからめまいが強くなった場合は、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。
生活習慣の見直し
線維筋痛症の症状管理では、生活リズムを整えることが重要です。
取り入れたい工夫は以下の通りです。
・起床・就寝時間を整える
・水分を適切にとる
・食事を抜かない
・急に立ち上がらない
・体調に合わせて活動量を調整する
・長時間同じ姿勢を避ける
・予定を詰め込みすぎない
・休息を計画的に取る
ただし、安静にしすぎると、筋力や体力が低下し、立ちくらみや疲れやすさが悪化する場合があります。
体調に合わせて、無理のない範囲で少しずつ活動することが大切です。
運動療法
段階的な運動療法は、線維筋痛症の症状管理に用いられることがあります。
取り入れやすい運動は以下の通りです。
・短時間のウォーキング
・水中歩行
・軽いストレッチ
・固定式自転車
・ゆっくりした体操
・ヨガ
・太極拳
めまいがある場合は、転倒の危険性に注意してください。
一人での屋外運動や、急な立ち座りを伴う運動は避け、座った姿勢や手すりを利用できる環境から始めると安全です。
運動中にめまいが強くなった場合は、直ちに中止して座るか横になりましょう。
食事と栄養の考え方
線維筋痛症やめまいに対して、特定の食品だけで症状が改善すると確立されているわけではありません。
ただし、欠食、脱水、過度な飲酒などは、めまいや体調不良を悪化させる可能性があります。
基本的には、以下を意識しましょう。
・主食・主菜・副菜をそろえる
・たんぱく質を適量とる
・野菜や果物を取り入れる
・水分をこまめにとる
・過度な飲酒を避ける
・極端な食事制限をしない
貧血や栄養不足が疑われる場合は、医療機関で検査を受けることが重要です。
リラクゼーションとストレス管理
ストレスや緊張は、痛み、疲労、睡眠の質に影響することがあります。
取り入れやすい方法は以下の通りです。
・深呼吸
・瞑想
・入浴
・音楽を聴く
・軽いストレッチ
・趣味の時間を作る
・休息時間を確保する
これらは症状管理の補助として役立つ可能性がありますが、めまいの原因を治療するものではありません。
めまいが続く場合は、リラクゼーションだけで対処せず、医療機関へ相談しましょう。
整体で相談できるケース
整体の位置づけ
整体は、線維筋痛症やめまいを診断・治療する医療行為ではありません。
また、整体によって線維筋痛症の自律神経異常やめまいが改善すると断定できる十分な根拠はありません。
ただし、医療機関で緊急性のある病気や耳・脳・心血管系の疾患が否定されており、筋肉のこわばりや姿勢、日常動作の負担が気になる場合には、補助的な相談先になることがあります。
整体で相談しやすいケース
整体は、線維筋痛症やめまいを診断・治療する医療行為ではありません。
また、整体によって線維筋痛症の自律神経異常やめまいが改善すると断定できる十分な根拠はありません。
ただし、医療機関で緊急性のある病気や耳・脳・心血管系の疾患が否定されており、筋肉のこわばりや姿勢、日常動作の負担が気になる場合には、補助的な相談先になることがあります。
以下のような場合は、整体で相談できることがあります。
・首や肩のこわばりが気になる
・背中や腰の筋肉が張っている
・長時間同じ姿勢を続けている
・体に負担の少ない姿勢を知りたい
・軽いストレッチの方法を相談したい
・日常動作の負担を見直したい
・医療機関で重篤な疾患が否定されている
ただし、施術を受ける前に、めまいがあること、線維筋痛症と診断されていること、服用している薬などを伝えましょう。
整体で期待できること
整体では、体への負担が少ない範囲で、筋肉の緊張や日常動作について確認することがあります。
期待されることには、以下があります。
・筋肉のこわばりの軽減
・姿勢や動作の見直し
・リラックスしやすくなる
・セルフケア方法の確認
・体に負担をかけにくい生活動作の提案
ただし、整体によって脳への血流や自律神経が正常化し、めまいが治ると断定することはできません。
また、首への強い施術や急な矯正は避ける必要があります。
筋膜リリースについて
筋膜リリースと呼ばれる手技は、筋肉や周辺組織に軽い圧や伸張を加える方法です。
施術後に筋肉の緊張が軽くなったと感じる人もいますが、線維筋痛症やめまいに対する有効性は十分に確立されていません。
線維筋痛症では、軽い刺激でも強く痛みを感じる場合があります。
そのため、強い圧をかける施術、痛みを我慢する施術、長時間の施術は避けましょう。
整体施術の安全性と注意点
線維筋痛症の人は刺激に敏感な場合があり、強い施術によって痛みや疲労が悪化することがあります。
整体を利用する場合は、以下を意識しましょう。
・強い圧や急な矯正を避ける
・首を強くひねる施術を避ける
・痛みを我慢しない
・めまいが出たら直ちに中止する
・施術後の体調変化を確認する
・医療機関での治療を中断しない
めまいが施術中または施術後に強くなった場合は、施術を中止し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
整体を受ける際のポイント
施術前に確認すべきこと
施術前には、以下の情報を伝えましょう。
・線維筋痛症の診断の有無
・めまいの種類や出る状況
・痛みの場所と強さ
・服用している薬
・過去の病気やけが
・医師から受けている治療
・触られると痛い部位
・施術で避けてほしい動作
また、施術内容、刺激の強さ、施術を中止する基準について、事前に確認しておきましょう。
継続的な施術の必要性と期間
線維筋痛症やめまいに対して、「2週間から1ヶ月に1回」「一定期間続ければ体質が改善する」といった標準的な整体施術の頻度や期間は確立されていません。
そのため、施術回数や期間を一律に決めることはできません。
継続するかどうかは、以下を確認しながら判断しましょう。
・痛みやめまいが悪化していないか
・日常生活が楽になっているか
・施術後に強い疲労が出ていないか
・費用に見合っているか
・医療機関での治療に影響していないか
症状が変わらない場合や悪化する場合は、惰性的に通い続けず、医療機関へ相談してください。
まとめ
線維筋痛症では、全身の痛み、疲労感、睡眠障害などに加えて、めまいやふらつきを伴うことがあります。
ただし、めまいの原因は線維筋痛症だけではありません。
耳の病気、脳の病気、血圧の変動、貧血、脱水、薬の副作用など、さまざまな原因が考えられます。
特に、めまいにろれつ障害、片側のしびれや脱力、激しい頭痛、歩行困難などを伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
整体は、線維筋痛症やめまいを診断・治療するものではありません。
医療機関で緊急性のある疾患が否定されている場合に、筋肉のこわばり、姿勢、日常動作、セルフケアについて相談する補助的な選択肢として検討しましょう。
強い圧や急な矯正、首を強くひねる施術は避け、症状が悪化した場合は直ちに中止してください。
参考文献・出典一覧
【学会・公的機関・専門組織】
・Mindsガイドラインライブラリ「線維筋痛症診療ガイドライン2017」
・Mindsガイドラインライブラリ「慢性疼痛診療ガイドライン」
・日本線維筋痛症学会
・American College of Rheumatology
・NHS「Fibromyalgia」
・NHS「Fibromyalgia - Symptoms」
・NHS「Fibromyalgia - Treatment」
・Centers for Disease Control and Prevention「Fibromyalgia」
・Mayo Clinic「Fibromyalgia - Symptoms and causes」
【主要論文・ガイドライン】
・日本線維筋痛症学会 編『線維筋痛症診療ガイドライン2017』
・慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ 編『慢性疼痛診療ガイドライン』
・Wolfe F, et al. The American College of Rheumatology preliminary diagnostic criteria for fibromyalgia and measurement of symptom severity.
・Wolfe F, et al. 2016 Revisions to the 2010/2011 fibromyalgia diagnostic criteria.
・NICE Guideline NG193「Chronic pain: assessment and management」
【記事作成方針】
本記事は2026年8月時点の医学ガイドライン、公的機関、専門医療機関の情報を参考に作成しています。
線維筋痛症では、めまいやふらつきを伴うことがあります。ただし、めまいが線維筋痛症によって直接引き起こされているとは限りません。
めまいには、内耳疾患、脳血管疾患、起立性低血圧、貧血、脱水、薬剤の副作用など、さまざまな原因があります。
整体は、線維筋痛症やめまいを診断・治療するものではありません。医療機関で必要な評価を受けたうえで、筋肉のこわばり、姿勢、日常動作の負担、セルフケアについて相談する補助的な選択肢として検討してください。
突然の強いめまい、ろれつ障害、片側の手足のしびれ・脱力、激しい頭痛、意識障害、歩行困難などがある場合は、脳卒中など緊急性の高い疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。


